ワタシにオサメル展

アシタノシカク ASITA_ROOM(大阪市中央区)にて、宇野由紀子 Life Texturist’s 収納 Works『ワタシにオサメル 展』を開催させていただきました。
株式会社テンネットの代表であり、暮らしの、時間の、心の質感と向き合う “ライフテクスチャリング”を自らのテーマと課す宇野由紀子が、収納を「好きを研ぎ澄まし、今の自分を浮き彫りにし、モノとの関係性をワタシにオサメルための“装置”」ととらえ、オブジェクトやツールとしてコンセプチャルに表現。16日間の会期中400人近くのお客様のご来場をたまわり、皆さんと貴重な時間を共有させていただきました。

ワタシにオサメル展

ヴィヴィッドな体験が、いまの私をつくっているという感覚があります
モノを“持つ”という体験もそのひとつです

心を揺さぶられる出逢いをしたモノたち
いま心をつかまれているモノたち
ある美しい時間と結びつくモノたち
説明はできないけれど胸がざわざわするモノたち
いつまでも戯れていられるモノたち

それらに光をあて
それらとの関係を深められように“持つ”ことができれば

好きはどんどん研ぎ澄まされ
自分自身の質感が浮き彫りになり
ワタシにじんわりとおさまっていく
そしてこれからのワタシを予感させるテクスチャーが見えてくる

「収納」がそんな装置になれば素敵だと考えています

長い時間を収納の企画・提案についやしてきた中で
感じ得たこと、思い至ったことを
新商品の発表でもなく、誰にでも役に立つアイデアのプレゼンテーションでもなく
「ワタシにオサメル展」という
なかば自分自身をさらけ出すようなかたちで表現することにしました。
(収納の中身はすべて私物・・・)

このヴィヴィッドな体験は
近く、ワタシにおさまり
次なるワタシの質感をつくっていくと信じています

今回お世話になったすべての方
会場に足を運んでくださった皆さまに
心から感謝いたします

ライフテクスチャリスト
宇野由紀子

  • Portrait Closet ポートレイトクローゼット

    カテゴリーという枠にも時間軸にもとらわれず
    大好きなモノをおもむくままにマグネットで

    ひとつひとつのモノとの個別で具体的な関係が
    集合体としての抽象的なテクスチャーへと変化して
    これからのワタシに磁力をもって作用する

    2015年 秋の“肖像画”
    ワタシにオサメル

    高さ2mの鉄製の“クローゼット”は、木のフレームや棚がマグネットでくっつく仕組みに。棚は自由に移動させることができます。古いモノ、今のモノ、着るもの、読むもの、愛でるもの…好きなモノだけを集め、ここにおさめていく行為は、肖像画のごとく今の自分を浮き彫りにしていく興味深い時間となりました。ブログおりおりにてより詳しく…

  • 開観本函 ひらきみブックケース / Inside_to_Inside

    美しい本が好き
    本棚から出して感じていたい
    好きな頁と対話がしたい

    開いて、置いて、観る仕掛け
    ワタシにオサメル

    本を開いてオサメる透明のケースをつくりました。本の中と自分の中の往き来ができればという思いを込めて副題は Inside to Inside 。展覧会では画集サイズ、文庫本サイズを作成して、私の大好きな本を並べていましたが、嬉しいことに皆さんそれぞれの「こんな本をオサメたい!」なオリジナルサイズもオーダーいただきました。
    アシタルームの大きな鏡の前を開観本函の舞台にし、本の表紙を鏡に写し込む立体的な展示に。ふと吸い込まれそうな奥行きを感じる大好きなスペースになりました。

  • 好極重箱 すきわめかさねばこ / What’s_up_Layers

    自由に積み上げ、自在に段替え
    思うときに想うモノ
    あそんで、しらべて、きわめる
    いつも“今”が一番上

    時間の質感を変えて
    ワタシにオサメル

    好きなモノを好きな世界観をつくりながら一段一段におさめていく。そんな桐の重ね箱をつくりました。すべての段にセットにした内枠は、お気に入りの布を下敷きして押さえるために使ったり、上に透明蓋を乗せてショーケース風にしたりと様々な役割を担い、この作品のキーになっています。また側面の穴は手を掛ける手がかりと、中身の手がかり(自分だけのインデックス)の2つの意味を持ちます。収納であり額であり、向き合う時間が特別になる大人の宝箱です。

  • アンティーク額写し立掛けクローゼット

    クリニャンクールで見つけた古い額
    絵ではなく、額のかたちを愉しみたくて
    鍛鉄でクローン、クローン

    今のモノたちとリフレクト
    ワタシにオサメル

    パリ郊外の蚤の市で一目惚れした、しなやかな曲線を持つ木製の額縁。それと同じシルエットで鍛鉄の額をつくりました。長い脚をつけて立掛ける仕様にし、絵ではなく日常のあれこれを美しくおさめられるように。今回もっともたくさんのオーダーをいただいた人気作品になりました。

  • 座面が画面の立掛けクローゼット

    敬愛するカメラマン、
    もう会えないNさんからの
    とある年始のグリーティング
    飾りたいなと思っていたら
    掘り出し市で座面と出会う

    今のモノたちとリフレクト
    ワタシにオサメル

    スクエア型の座面(いわゆる椅子の)をみつけてピンときて。写真や絵を飾りたくて額代わりにした座面は思いのほか機能的でいろんな使いみちのアイデアが出ます。鉄の長い脚が見た目のユニークさもプラスして愛おしい作品になりました。
    展示していた2点とも、お嫁入り先が決まったのも嬉しかったことでした。

  • そのうち音

    プレーヤーがない
    でも素敵に違いないと手に入れたレコード
    「そのうちね」と唱えて
    まだ触れぬ円盤といい関係を保つ
    そのうち読む本とともに

    心の質感を変えて
    ワタシにオサメル

    素敵なモノは素敵なんですから、使えないモノを持っている罪悪感は軽々と越えましょう。そんな気持ちで、“使いにくいけれど佇まいの美しい棚”をつくって聴けないレコードをおさめました。

  • とまっ時

    動かないけど手放せない
    「とまっとき」と声をかけたら
    嬉しそうに見えた
    嬉しく持っていられる気がした

    心の質感を変えて
    ワタシにオサメル

    動かなくても壊れていても、心にポッと灯のともるスイッチになるなら…
    自分の“好き”の原点をたぐれる糸になるなら…嬉しくポジティブに持っていよう。
    そんな自分との対話のような作品でした。