「早春を慶ぶ会 –能とピアノとSpring Amuse– by イカス＊キモノ」心震える美しい１日となりました

2014.2.23

２月１６日に開催させていただいた「早春を慶ぶ会 –能とピアノとSpring Amuse— by イカス＊キモノ」

誰かのために着物を着るのも素敵だけれど、互いに健康でいられることを祝したり

季節の到来を喜び合ったり、“自身が嬉しくなる”をテーマに着物を着る…

そんな集まりを持ちたくて、イカス＊キモノで昨年末から企画をスタート。

 

凛と美しくもおおらかで豊かな時間をという思い、

そしてわたしと助手の三嶋さくらちゃんが大好きなモノ・コトで埋めつくすことも忘れず、

 

能楽師の梅若基徳さんに「言祝ぎの能とお話」を

ピアニストの廣沢繁司さんに「春香るピアノ演奏」を

FOOD WORKER FUNAKI 舟木貞裕さんに「スプリングアミューズ」をお願いし、

構成を練り、打ち合わせを重ね、ドキドキワクワクしながらその日を迎えました。

前日までの悪天候とは打って変わってみごとな晴天に恵まれ、

総勢６５名の皆さまが、大阪市内の素敵な隠れ家に

思いおもいの「嬉しいお召し物」で

晴れやかな笑顔で集結。

その内 女性の参加者さま３８名は全員がお着物姿。

それはそれは華やかでした。

 

イカス＊キモノ的には、この日にお召しになる着物への“思い”をぜひお聞かせいただきたくて

メモをご用意し、ボードにはり、皆さんで共有させてもらいました。

 

お母様がご結婚のお披露目でお召しになったというお着物をはじめて身にまとったという方

今は亡きお祖母様が２０年前に作ってくれた訪問着に袖を通したという方

お祖母様からお母様へ、そしてご自身が受け継いだかんざしを差していらした方

 

どのお言葉にも心がじんわりあたたかくなりました。

 

 

またこの日のためにお母様と、あるいはご友人とコーディネートを一生懸命考えてくださったり

何度も着付けの予行演習をしてくださったりと

１ヶ月も２ヶ月も前から準備を楽しんでくださっていたご様子などをお聞きするたびに

涙が出そうなほど嬉しくなりました。

 

男性陣も負けてはいません。

お洋服の方もとっても素敵な装いでお越しくださり、

７名の方はお着物姿でお出でくださいました。

 

お父様のお着物を着ることができて晴れやかな気持ちになったと言ってくださった方

お正月ぐらいしか着る機会がないので嬉しかったという方

この会のために古着屋さんで着物を探して着物デビューをしたという方

また今は亡きお父様の兵児帯を蝶ネクタイに作り替え、身に付けてきてくださった方も。

 

着物を活かすことで様々なものが結ばれる…

改めて、イカス＊キモノ的感動に心が震えました。

 

さて、わたしたちの“大好き”で埋めつくした会のダイジェストを…

 

ウエルカムドリンクでお客様に喉を潤していただいたあと、梅若さんのご登場。

お仕舞「融-とおる-」できりっと心地よい緊張感が走り、

能のなりたちのお話には、初心者も通も興味津々目がらんらん。

ラストには結婚式などで馴染みのあるお祝いの曲「高砂」の最終章「千秋楽」の謡を全員で練習し、

それに合わせて梅若さんが舞ってくださるというサプライズも。

繁栄をたたえ、長寿を祝福する、言祝ぎの能を全員でたのしむことができました。

 

 

廣沢さんのピアノにも、ぐっと気持ちが引き込まれました。

お能のあと、しばしご歓談いただいているところに

屏風のうしろに隠れていたグランドピアノが現れ、

廣沢さんが素敵なお着物姿でお出ましくださるという演出。

お着物での演奏ははじめてとのことでしたが、

会の主旨をとてもおもしろがってくださり、ご快諾くださいました。

武満徹「Piano Distance」や平井康三郎「幻想曲 さくらさくら」など

とても美しくハートフルなピアノ演奏にうっとり。

 

そして最後の曲ドビュッシー「沈める寺」は梅若さんのお仕舞との共演に。

ピアノと舞のエネルギーが静かに交錯し、

会場中が凛と美しい緊張感、慈愛に満ちたやさしさに包まれたような気がしました。

胸がじんわり熱くなる、心の底から感動した数分間でした。

 

舟木さんのスプリングアミューズも大人気でした。

よもぎと白味噌のマカロン、蝦夷鹿の自家製ハムとソーダブレッドの蕗味噌添え、

菜花と新じゃがのトルティージャなどなど春の味覚が満載。

爽やかにスタイリッシュにアレンジしてくださいました。

 

 

あの日から１週間。

企画・主催の側ではありますが、本当に得がたい、特別な時間を皆さんからプレゼントしてもらった…

そんな気持ちで日々思い返すごとに胸がいっぱいになります。

ご参加の皆さん、ご出演者の方々、アシストしてくださったみんな、本当にありがとうございました。

ハレの装い、ハレのお気持で皆さんが作り上げてくださった得難い数時間。

有り難き一期一会。

 

イカス＊キモノの活動を通して深めて来た思いを、これからもさらにカタチとして昇華することで、

モノ・コト・ヒトが結ばれ

またそこから波紋のような輪が静かに広がれば幸せだなと思います。

 

最後にわたしたちの宝物になった写真を。